尚、実施設計は次の3つの設計からなります
l「意匠設計」…建築物の外観や内部空間・コンセプトのデザインに関する設計
l「構造設計」…家の重さへの強度や、地震や台風、雪など建物が倒壊しないように、建築物そのものの構造に関する設計
l「設備設計」…下水道やガスなどの配管や消火設備、空調や換気、音響、電気(照明やインターネット等)といった建物のインフラに関する設計があります。
1. 見積の種類「一括見積形式」とは?
本来見積もりは、実施設計に基づいて作成されますが、しかし、壁や床、配管など、一つ一つの部材まで積算し、見積を出すのは時間もかかり至難の業です。
それで、
各社独自のルールを設け、
建物の床面積の大きさで本体単価を設定し、
ルールから外れる項目をオプション扱いとしてプラスし、
10分程度で簡便に対応できる見積システムが利用されます。
これが「一括見積形式」とよばれるもので、それに基づいて請負契約が結ばれることがあります。
「先行請負契約方式」と呼ばれています。
詳細な実施設計に基づく請負契約ではありません。
2. 一括見積形式による「先行請負契約方式」の問題点とは?
これまでみてきたように、基本設計では正確な価格、見積もりは算定できません。
しかし、現実には「一括見積形式」で請負契約が締結される「先行請負契約方式」が住宅業界では多くみられ、次のような問題点があるといわれています。
価格面で不透明な状態になっている。
契約前は競合業者がおり、値引きも10%程度はおこなわれるが、
契約後は競合相手もおらず値引き率も悪くなり、
結局は高くつく結果になってしまう
住宅メーカーではこの追加費用で利益を確保しようとする。
などと指摘されています。
契約出来るか解らない状態で、細かい見積りに労力と経費をかけることに対して避けたい心理が働くのは仕方の無い部分もありますが、どうしても納得出来ない場合や不安が残る場合は、専門の第三者にサポートを依頼するか、設計事務所に設計を依頼する方式(設計契約方式)を採用する方法もあります。
3. 「一本拾い(イチホンビロイ)形式」とは?
「一括見積形式」に対して、柱、壁紙など一つ一つの材料の数量を拾い出し、各工事の施工にかかる職人の手間代を算出して、積み上げ方式で算出される、「一本拾い(イチホンビロイ)形式」と言われる見積書があります。
各材料の寸法・材質・数量が明確に表現され、内容が解りやすくなっています。
契約する前の価格の比較検討を行うにも判断しやすく、納得した工事請負契約が締結できます。
建築会社側の立場から言えば採用したくない見積形式で、悪く言えば消費者にごまかしが利かなくなるため嫌がるともいわれています。
設計事務所で作成される見積は、「一本拾い(イチホンビロイ)形式」となっています。